さ行
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サウンドボックス
アームに付けて先に鉄針をねじで留めて使います。針が音溝をトレースすると、テコの原理でその振動が拡大されて、サウンドボックスの振動体を大きく振動します。その音はアームを通って箱の中を通り、開口部から結構大きな音で出力されます。
蓄音機の音は予想以上に大きいもので、しかも電気増幅を全く使っていないシステムで、こんなに大きな音がいとも簡単に出てしまうのは正に驚きです。アパートで夜鳴らすには近所迷惑になりそうなほどですし、粋なBGMとして利用しようにも、みんなのおしゃべりをかき消すほど大きなBGMでは使い物になりません。それくらい大きいのです。
戦時中に、御法度だったジャズのレコードを、押し入れで布団をかぶって聴いた、というような話を時々聞きますが、蓄音機の音を一度聞くと、その音のあまりの大きさに、なるほどと納得できるはずです。
写真、左HMVno4マイカサウンドボックス 右HMV5aサウンドボックス
シェラック
20世紀初頭から50年ほど、レコードと言えば「78回転のSPレコード」を指しましたが、このSPレコードは、東南アジアに生息する虫の分泌物であるシェラックを主原料としていました。
石油化学技術が発達して多種多様な合成樹脂が出来るまでは、シェラックでレコードを作るのが一番音質に優れていたからですが、シェラックのレコードには、
1) 堅くて脆くて重い物性を持つ。SPレコードは、12インチ(30センチ)または10インチ(25センチ)の直径でしたが、持つとズシリと重く、「土器」とか「せんべい」のような感触です。脆い材質なので、衝撃を受けると簡単に割れました。なので、SPレコードの中には、紙を芯材にして強度を上げたものもありました。
2) 動物性の材料なので、カビが発生しやすい。
3) 第二次大戦中に日本が東南アジアを占領し、シェラックの欧米への供給が途絶えてしまった。
と言った欠点がありました。
第二次大戦の頃に、欧米では石油化学工業が発達して、今でもレコードに使われている「塩化ビニール樹脂」が製造できるようになり、これがレコードの材質に向いていることが分かりました。
品川征郎
オーディオ文化史研究家
1938~2014年 大阪生まれ
早稲田大学理工学部(機械科専攻)を卒業後、実家の品川工業所へ勤務。
東京営業所長や小倉営業所長を経て、28歳の頃にかねてから愛好していたオーディオの道に専念する。
以後、大阪オーディオ協会を設立。ジャパンオーディオコレクションの代表を務め、エジソンのメンロパーク研究所、エジソンヒストリックサイト(ニュージャージ州イーストオレンジ)やウィンターホーム(フロリダ州フォートマイヤーズ)をはじめ、世界各地を巡り、蓄音機とSPレコードの収集と復元技術の研究、収録された音源を100%再生できるアンプ、プレーヤーの研究を重ねている。
60歳頃に心臓弁膜症を患い、その後も度重なる施術を受け、ペースメーカーの装着、片肺の不全により酸素吸入器の常時携帯を強いられ、入退院を繰り返しながら現在も収集や指導を続けている。
所蔵している名機名盤は、科学的・系統的に優れたものだけを収集し、400台を超える蓄音機と20万枚以上のSPレコードは、歴史的価値の高いものが数多く含まれている。
(蓄音機とSPレコード盤を合わせての個人所蔵数は世界最多)
シリンダー
ストロボスコープ
アナログレコードプレーヤーの回転速度をチェックする道具。
50ヘルツ用と、60ヘルツ用があるので注意。
スリーブ
ソーン針

SPレコード針には、代表的な物として鉄針・竹針、そしてソーン針が有ります。
ソーン針とはサボテンの棘針の事です。どんな種類のサボテンかは不明です。
音質は竹針とほぼ同じですが、音量は若干大きめです。
鉄針では、レコード盤を痛めるし。竹針では、レコード盤の溝を広げると言うので、レコード愛好家の中にはソーン針を愛用する方も多いようです。
そして、ソーン針にも「ソーン針シャープナー」という、針先を研ぐ道具が有ります。
この道具により、ソーン針も1本で30~50回は使えるのです。
また、太さも多様(大きく分けると3サイズほど)で、音量の調節も可能。
ゼンマイモーター